抗体製品(ELISAキット)に関するよくある質問をまとめました。
【対象製品】
- High Sensitivity CPD ELISA kit Ver.2 (株)コスモ・バイオより販売中(外部リンク)
- High Sensitivity 6-4PP ELISA kit (株)コスモ・バイオより販売中(外部リンク)
- High Sensitivity 6-4PP ELISA kit (TMB) (株)コスモ・バイオより販売中(外部リンク)
- ELISA構築(キット化, 受託開発)については『ELISA構築・キット作製』や『ELISA構築・キット作製 FAQ』をご覧ください。
測定対象・サンプルDNAについて
Q. ELISAキットで何が測れますか?
生物のDNAに生じた紫外線による損傷(シクロブタン型ピリミジン二量体 (CPD) および(6-4)型光産物 (6-4PP))を検出できます。サンプルDNAは、細胞から抽出する必要があります。
Q. どんな生物に使えますか? 植物にも使えますか?
植物にもお使いいただけます。本製品(High Sensitivity CPD ELISA Kit / High Sensitivity 6-4PP ELISA Kit)は、あらゆる生物のDNAに対し用いることができます。
Q. CPD、6-4PPおよびDewarPP(紫外線(UV)によるDNA損傷)は、どのような波長によって生じますか?
紫外線は、波長によって3種類に分類されます。波長が短い(エネルギーが強い)ものから、UV-C(100-280 nm)、UV-B(280-320 nm)、UV-A(320-400 nm)と呼ばれます。
UV-C (100-280 nm)およびUV-B (280-320 nm)は、細胞内のDNAに直接吸収され、塩基中の共役二重結合が励起されます。これにより、シクロブタン型ピリミジン二量体 (CPD) および(6-4)型光産物 (6-4PP)が高頻度に形成されます。UV-A (320-400 nm)も、DNAに直接吸収されCPDを形成しますが、形成率ははるかに低くなります。しかし、6-4PPは形成しません。
地表に到達する太陽紫外線はオゾン層によりUV-Cを含む290 nm以下のUVが吸収されるため、UV-BとUV-Aの混合波となります。UV-Bで形成されるCPDと6-4PPの内、6-4PPはUV-A照射により効率的にDewarPP(Dewar型光産物)へ変換されます。
▶DewarPPのELISAキットはございませんが、抗体単品 Anti-DewarPP/コスモ・バイオ(株)HPがございます。
Q. DNAは、抽出する必要がありますか?
はい。ELISAキットを使用する場合は、細胞からDNAを抽出する必要があります。市販のDNA抽出キット等もご活用頂けます。
▶抗体自体は、免疫組織染色にも使用できます。
Q. サンプルDNAに必要な純度はどれくらいですか?
サンプルとして用いるDNAの純度は、2.0 ≧ A260/A280 ≧ 1.8を推奨しています。
- A260:260 nmの吸光度測定値
- A280:280 nmの吸光度測定値
Q. DNAのディネイチャー(1本鎖に分離する)方法は?
- 希釈したDNAサンプルをチューブ(キャップロック付き)に分注します。
- 100℃に設定したヒートブロックで10分間加熱します。
- 直後に氷上(0℃)で15分間冷却します。
Q. DNAサンプルは制限酵素等での断片化の必要ですか?
断片化の必要はありません。
Q. このELISAキットでDNA損傷(CPD/6-4PP)は定量できますか?
いいえ。量は測定できません。本製品(High Sensitivity CPDs ELISA Kit / High Sensitivity 6-4PPs ELISA Kit)では、DNA損傷(CPD/6-4PP)の相対定量が可能です。
参考文献:Nishimura, Kazuki, et al. “Seasonal Differences in the UVA/UVB Ratio of Natural Sunlight Influence the Efficiency of the Photoisomerization of (6‐4) Photoproducts into their Dewar Valence Isomers.” Photochemistry and Photobiology (2020). こちらの論文ではキットで使われている抗体および「損傷数既知のDNA」を標準品に用いたELISAの実験結果が掲載されています。ただし、この論文内で使用されている「損傷数既知のDNA標準品」は、製品として販売されておりません。
ELISAキットの操作方法について
Q. 実験のコツはありますか?(動画マニュアル)
ELISAキットの実験操作動画をご用意しております。
試薬添加やウォッシュのピペット操作等、ご参考になさってください。
ELISA Orepating Guide
- Chapter1. DNAのディネイチャーとサンプルの固相化
- Chapter2. ウォッシュとブロッキングの添加方法
- Chapter3. 試薬の調製と基質溶液についての注意
- Chapter4. 吸光度の測定
ELISA操作動画の日本語字幕は設定(歯車のアイコン)から表示/非表示を選択できます。
Q. OPD Substrate Solutionは調製後、保存可能ですか?
いいえ。溶液調製後の保存はできません。OPD Substrate Solutionは、使用直前に調製したものを使用して下さい。
Q. 異なるロットの試薬を組み合わせて使えますか?
いいえ。同梱されていた(同じロットNo.の)試薬以外を組み合わせて使わないで下さい。
Q. Assay Dilluentが結晶化している。使えますか?
お使いいただけます。Assay Dilluentの容器を温水で温めて、結晶を溶かしてから使用してさい。
Q. Wash Buffer Dilluentが結晶化している。使えますか?
お使いいただけます。Wash Buffer Dilluentの容器を温水で温めて、結晶を溶かしてから使用して下さい。
Q. シグナル(吸光度)が低いです。何が原因ですか?
よくある原因は以下の通りです。
- サンプルDNAの純度が低い。
- サンプルDNAのディネイチャーが正しくされていない。
- DNAの固相化時にプレートが十分に乾燥していなかった。
- サンプルに6-4PPが含まれていない(非常に少ない)。
- 各試薬の希釈倍率を薄く間違えた。
- 試薬を添加し忘れた。
- ウォッシュの液量、回数が多かった。
- 反応時間が設定より短かった。
- 製品の使用期限を超過している。
Q. バックグラウンド(吸光度)が高いです。何が原因ですか?
よくある原因は以下の通りです。
- 調製後、時間の経過したOPD Substrate Solutionを使用した。
- サンプルのDNA純度が低い。
- DNA固相化量が多い。
- サンプルに含まれる6-4PPが非常に多い。
- 各試薬の希釈倍率を濃く間違えた。
- ウォッシュの液量、回数が少なかった。
- ブロッキングの操作以降において、作業途中でプレートが乾燥した。
- 反応時間が設定より長かった。
- プレートの底面(裏側)が汚れている。
- エッジ効果の影響。
Q. 使用期限は?
CPD ELISA Kit Ver.2(品番:NM-MA-K003)およびHigh Sensitivty 6-4PP ELISA Kit(品番:NM-MA-K002)の使用期限は、製品出荷日から6ヵ月後です。
Q. 論文等での使用実績はありますか?
ご紹介いたします。
※NM-MA-K001は、High Sensitivity CPD ELISA kit Ver.2 (NM-MA-K003)のリニューアル前の品番です。
弊社製品ユーザーの皆さまへお願い:弊社製品を用いたご研究情報をお寄せ下さい。弊社ウェブサイトよりご研究内容のページへリンクさせて頂きます。
関連製品:UVC-irradiated DNA samples (CSR-NM-MA-R010)について
Q. 用途は?
以下の製品と同時に使うことにより、ご自身のサンプルにUVC何 J/m2相当のCPDや6-4PPが形成されているかを調べることができます。
- High Sensitivity 6-4PP ELISA Kit (NM-MA-K002)
- High Sensitivity CPD ELISA Kit Ver.2 (NM-MA-K003)
- Anti CPDs(CAC-NM-DND-001)
- Anti 6-4PPs(CAC-NM-DND-002)
Q. グラフ・検量線の作成方法は?
吸光度を縦軸、UVC-irradiated DNA samplesのUV dose (0, 2.5, 5, 7.5, 10 J/m2)を横軸にとります。グラフ形状に合わせて直線、二次関数、 4係数ロジスティック曲線等でフィッティングさせて下さい。これにより、同時に測定したサンプルが何J/m2相当のUV損傷を含でいるかを確かめることができます。ただし、お客様の用途に合わせてこれ以外の方法でグラフを作成して頂いても構いません。
ELISAキットのデータシートにグラフの例(Fig.3)が掲載されています。